音楽業界の分散化に向けて、何が必要か?
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音楽業界の分散化に向けて、何が必要か?

ブルーノ・グエズ
ブルーノ・グエズ
4分

ブロックチェーンやウェブ3など、分散型技術をどう呼ぶのかは別として、その技術は岐路にあります。 仮想通貨やNFTなどの関連する技術とともに、分散型技術は飛躍的な成熟を遂げているにも関わらず、

音楽ブロックチェーン関連企業たちは苦戦しています。音楽業界にとって必要不可欠な分野での真の創造性と効率性を約束し(時には実現し)ているのにです。 この理由は明らかです。現在の音楽業界のニーズと分散型システムの間には、大きな乖離があるのです。

この音楽関連のビジネスの主な価値は、クリエイティブな知的財産を支配する能力にあり、それは本質的に中央集権的な営みです。 真の意味で健全で多面的な、音楽のための分散型エコシステムを構築するためには、実現すべきことを明確に認識する必要があるのです。 ネタばれ:一部の暗号技術熱狂者やスタートアップが何を信じようが、これから先何年も、そのシステムはハイブリッドなものであるでしょう。 音楽業界が完全に分散型になり、ライセンスレスになるには、いくつかのチャレンジングな課題を乗り越える必要があります。

グローバルな著作権のフレームワーク

まず、グローバルな著作権のフレームワークをチェーン上で築き、これに世界中に240あるすべての団体権利組織が加盟する必要があります。 組織自身が、ネットワーク上の検証ノード、つまりトランザクションの正しさを承認し保証するコンピュータとなるのです。 さらに、世界中の出版社やサブパブリッシャーとともにこれらのCMOが参加できる、チェーン上でのクレームやカウンタークレーム、紛争解決プロトコルも必要でしょう。

この一環としてステーキングの仕組みが考えられます。これは、権利者がアセットを登録する際に、著作権を侵害した場合に失うことになる担保(仮想トークンであることが想定される)を差し入れるものです。 これが、アライメントの問題を解決し、正しい行動をとるための動機付けとなります これらはすべて、ビジネスモデルの中核に不整合を抱えるレガシーな業界にとって、大きな要求です。 しかし、クリエイター側から見ると、もっとシンプルです。 まずは、著作権や創作物をブロックチェーンに登録することですが、 これはすでに解決しています。次の問題は、この技術に誰が出資し、完全な分散型ができるまで誰が維持するかということです。

米国で音楽近代化法がMLCの共同出資を定めた例と同じように、240のCMO/検証者からなるグローバルな著作権共同体が、この新しい分散型登録システムに出資して立ち上げることができるでしょう。 当然、出版面ではそう簡単ではありません。 なぜ簡単ではないのか。

"著作権管理のトークン化やアーティストとそのファンコミュニティ向けのDAOのような分散型プロトコルを徐々に構築していくハイブリッドなアプローチは、中央集権的な仕組みと分散型のメリットの適切なバランスを見つけるのに役立つでしょう"

さらに、音楽クリエーターや権利保有者は、デジタルストリーミングプラットフォームや音楽関連のサービスやアプリをすべてネットワークに接続させることで、これらのサービスが、著作物のスマートコントラクトに埋め込まれたオーナーシップストラクチャに従って、権利保有者に直接支払えるようにしたいと考えるでしょう。 これは素晴らしく効率的な方法で、私たちが実施したいくつかのパイロットでも実証されていますが、また別の大きな要求でもあり、

音楽業界が完全に分散型になり、ライセンスレスになるには必要なことです。 そして、ネットワークの参加者全員に金銭的なメリットがないと、こうした大きな要求には応えられないでしょう。 そして世界的なレパートリーデータベースの実現はハードルが高いと考えられていました。

しかし、大きな要求がいくつもあるにもかかわらず、前途はさほど悲観的ではありません。 分散化を過度に追求し、教義的にならなければ、希望はあるのです。 従来の法制度は追いつくことはできても、そこに導くことは絶対にできません。 金融でこれが起こったのが、金融規制環境がデジタル通貨や暗号資産に追い付いた現象で、 金融規制環境が分散型の金融に向かう取り組みを主導したわけではありません。 音楽業界でも同じことです。

その間、著作権管理のトークン化やアーティストとそのファンコミュニティ向けのDAOのような分散型プロトコルを徐々に構築していくハイブリッドなアプローチは、中央集権的な仕組みと分散型のメリットの適切なバランスを見つけるのに役立つでしょう。

これは奇抜な提案ではなく、暗号の世界ではハイブリッドなアプローチはありふれたことなのです。 Coinbaseを例に挙げましょう。Coinbaseは最初にIPOした暗号企業で、 暗号通貨とデジタル資産を扱う最大の中央集権的で規制された取引所を構築し、暗号愛好家の大きな支援を得ました。 結果、Coinbaseの成功は、デジタル資産に対する認知度を高め、暗号業界にとってより大きな利益となりました。 同じことがクリエイティブ産業でも可能です。

デジタルのコレクションであれ、権利であれ、デジタルアセットは今後も存続していくでしょう。 クリエイティブな知的財産は、5億ドルの巨大な未開拓の資産クラスであり、現在オフチェーンになっている音楽使用料コレクションだけでも390億ドル規模です。これは現時点では、見せかけだけの小規模な分散型ネットワークよりも集中型取引所のほうが多くの利益を得ることができるでしょう。 その答えは、より優れた、より効果的な権利管理と、将来の分散化のための舞台を必要に応じて整える、著作権とロイヤリティの清算のための優れたプロトコルにあります。 スマートコントラクトは、インターネットをネイティブな清算レイヤーに変えるアプリケーションレイヤーとなり、中間業者の削減やロイヤリティの清算やシャッフルの削減を支援します。

新しい技術を導入することも大切ですが、クリエイターへの利益をより多く確保することがより重要です。 分散化はその助けとなるかもしれませんが、その道のりはまだまだ遠く、 プロトコルレベルでの権利管理が行われなければ、音楽業界がブロックチェーンや分散化のメリットを十分に得ることはできないでしょう。

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